フラット35の情報公開
またアーティストのR・Sは、A藤が日本の伝統建築を最も代表すると語る。
私にとってA藤の建築は、きわめて西洋的である。
例えば、S記念館、新潟市立T図書館、大淀のアトリエの吹抜けにおいて垂直に立ち上がる本棚の壁は、日本では珍しいが、ロンドンの大英博物館の読書室やウィーンの帝国図書館などの古書の神殿、あるいはE・G・Aの作品を連想させるだろう。
また大阪府立H博物館の屋外階段や水庭は、むしろ西洋の幾何学式庭園と類似している。
A藤は、関西に育ち、伝統的な建築に触れる機会が多かったと述懐しているが、60年代の若き日に決行したヨ−ロッパ旅行も大きく影響したのではないか。
A藤のつくる空間には西洋的な構築性も刻み込まれている。
おそらく私も西洋の論者も、A藤の建築を通して、自国の文化にないものを発見している。
A藤という鏡は逆さまの像を写しだす。
中国人アーティストKの次の指摘は興味深い。
「A藤の建築には、自然との調和と対比の両方が認められ、東洋と西洋の両面をもつ、あるいはそのどちらでもない」と。
だとすれば、西洋からは東洋的に、東洋からは西洋的に感じられるという両義性にこそ、A藤作品の普遍性があるのではないか。
日本的というエキゾティシズムだけでは、世界的な建築家にはなりえない。
がっしりとしたA藤の建築に対し、K竹事務所出身のI東豊雄は、最新のテクノロジーに関心をもち、メディア的な軽い空間を追求している。
かつては工場や機械が建築のモデルだった。
彼はネットワーク化された情報端末であるコンビニが新しい建築のモデルになるのではないかという。
またケータイのもたらす空間の変容を積極的に捉え、新しい建築の条件とみなす。
カラオケでは演歌を熱唱するらしいのだが、デザインの感性はむしろ浜崎あゆみの世代に近い
。
I東のせんだいメディアテークは、真っ直ぐな柱に代わって、複数のチューブがゆらゆらと踊る。
また徹底的に薄い床や全面的なガラスを導入することによって、物質感を減らし、やわらかい情報の空間を生む。
さらに彼は、BのパビリオンやS・ギャラリーにおいて、柱のない箱としての建築を過激に展開している。
建築界では表現としての軽さが追求されているが、I東はその最前線だろう。
彼の桜上水の家は、実際に軽いアルミニウムという素材を実験的に導入した住宅である。
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